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エッセイ

Age2

生後6ヶ月~小学校低学年「軽井沢」
和歌生後6ヶ月、バギーに乗れる頃~小学校低学年

長男軍太二才の手をひき、和歌を連れ立って、
自分の意志でキャンプに行き出す小学校低学年頃まで、
夏は避暑地軽井沢で母子三人で一夏を過ごした。

軽井沢と言えば、別荘地帯を代表
-がしかし、この母子の生活様式は、
別荘地に住みつくホームレスさながら、
身なりをはじめ、生活スタイル全般シンプル。

一時が万事やることなすこと変わっていた。

それを象徴するかのように、
別荘の入口には、母親の手書きの一枚の貼り紙。

そこに、大きく書いてあったのは、

働かざるもの食うべからず

だった。

軽井沢の自然の中の不自然な生活、
母親は二人の子どもに、これでもかこれでもかと、
不便な生活を強いるのだった。

あたりの住民の目は、上流階層一帯の
風紀を乱す、この家族に、いっせいに注がれた。

この家族の一挙一動を
窓からつぶさに追っていたのは、
隣家の色白のボッチャマ君。

そのものめずらしさに、一日中窓ワクから動こうとはせず、不健康そのもの。
避暑に来たことすら、忘れるほどだった。


まずは、ボロボロのバギー、穴のあいた帽子、
母親のセンス?か、
穴には道端に咲く花が二本差し込んであった。

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一日のほとんどを、上半身裸と裸足で過ごし、
町へお出かけ?

たまさか、ワンピース姿だった時、
「まあ、フリルのついた花柄のワンピースを着た、可愛いボクちゃん。」
誰もが女の子とは思わなかった。

バギーを押すのは、
やはり、裸足と裸の二才年上の男の子だった。

見さかえなく、右や左にとカジをとり、
石ころだらけの坂道でパッと手を放す。


バギーは猛スピードで、ガタンゴトンと走り出す。
女の子は怖がるどころか、
ヒャーヒャーと奇声を発し、
兄は怖がらせることを、妹は怖がることを喜んだ。


ある時、大きな石にぶつかって、バギーはまるごとひっくり返し。
女の子は、泣くどころか、
逆さまになったまま、起こしてもらうのを待っていた。

-が母親は、わたしはわたし、子どもは子ども、
我感知せず、
生死の有無は、声さえ聞こえていれば、生きている!
だった。

こうした具合だったので、
この家族の光景には驚かされることばかり、
白い別荘が立ち並ぶ静かな別荘地帯を騒然とさせ、
あたりの住民は気が休まることがなかった。

ある時、隣家のボッチャマ君の母親が、
青い顔をして飛び込んで来た。

「おたくのボッチャンが、サオの先にヘビがクルクルと巻きついた
タケザオをかついで、走り廻っている。

宅の息子が怖がって、一歩も外へ出られなくなった。」-と。

また、ある時は、
「お宅のネコが、家に入り込んで、
お膳の上の魚をくわえて盗んだ!」と。

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また、ある時、
「よほどお腹がすいているんでしょう、
お宅のイヌがうちの畑のなすをくわえてもっていった。」

イヌが畑を掘っただけのこと。
と、ここまでは、
あら、そうですか、すみませんでした、-だったが、

畑に台所の生ゴミを肥料として埋め込んだためだったのだろう。
「お宅のハエが、うちに飛んでくる。」と。

これは、さすがに言い返した。
「うちのハエだという証拠がどこにあります?」
ハエに言い聞かせる訳には、いかなかった。

要するに、価値観の相違だった。
きれいか?きたないか?白か?黒か?

色白のボッチャマ君をはじめ、
隣家が白なら、あちらにとっては、
こちらは裸足と裸、盗った、盗んだ、逃げた犯人同様、
全て、黒だったのだろう。

モグラも出没する山の中、
たまさか、地面から顔を出せば、
それをのぞき込む、鼻グロイタチ同然、
二匹ならず二人の男の子と女の子に、
モグラもビックリ、元来た穴を引き返したとさー。

それほどに色の黒い男の子と女の子、
追いかけまわす白黒ブチの二匹のネコ、
その後を追い、ワンワン吠えたて走り廻るカラスのように黒い犬!

全てが黒を基調とした軍団、
この家族の結束は強く、団結は固かった。
それを物語るのが、早朝のラジオ体操。

戦後、貧しかった時代、
ラジオを囲んで町内会の朝の集い、
ラジオの曲に合わせ心一つに、ラジオ体操。

貧しい時代の一日の元気を約束。

その時の光景そのまんま、
トランジスタラジオを囲んで、母親の号令一下、
曲に合わせ、ラジオ体操がはじまる。

「ハイ、両手を上げて大きく深呼吸、
きれいな空気と、汚い空気を入れ替えよう。

ハイ、思いっきり東京の空気を吐き出して、
軽井沢のきれいな空気を胸いっぱい吸い込もう。」-と。

体操の合間合間に聞こえてくるかけ声と曲は、
まだしんと静まり返った早朝の別荘地帯にひびき渡り、
まだまだ眠い宵っぱり族に、いやおうなしに朝が来た。

軽井沢の空気で満腹になると、
朝食はいたってシンプル。

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一つの皿の中には、朝、盗れたてのキュウリやトマト、
さらにはパンがあるだけ。

母親は、一言「さあ、お食べ。」
言うが早いか、子ども達は一気に丸かじり。
その速さたるや、自動草刈り機のようだった。

犬の残飯のオジヤの方が、
まだ丁寧でもあり、うまそうだった。

この家族が夏訪れるたびに、子どもの年令も上昇、
それにつれ、行動範囲も広がり、
辺りの住民の好奇心も、
一夏ごとに高まっていくのだった。

それもそのはず、やる事成す事変わっていた。

朝食をすますと、各々の家族は、
思い思いに別荘を後に、
白いテニスシューズをはいて、町のテニスコートへと、
もしくは、遊び着に着かえて、町へショッピング。

-がしかし、この母子は、長グツをはいて、
とんぼ網をかついで、バケツを持って、
田んぼや、川の方へと下りていく。

そして、夕暮れともなると、
食べられる野草や、魚やら、バケツいっぱいにして、
もどってくるのだった。

挙句に、手も顔も足も、ドロドロの泥だらけ。

夕食の天プラの材料だった。

辺りが暗くなりはじめ、
趣向をこらしたシャンデリアが競い合うようにキラメキはじめる頃、
各々の家族の姿は別荘の中へと消え、
そして、静かな夜を迎える-が、
この家族の動きは、反対だった。

暗くなりはじめると、別荘からゴソゴソと外にはい出して、まだ手元が明るいうちにと、
空き地にテントを張りはじめ、
コンロを持ち出し、焚き火をしたり、
あわただしげに夕食の準備にとりかかるのだった。

各々役割分担があり、
枯木を拾うのが、女の子の仕事だった。

殆どの家族は食料を求め、町まで車で移動、
-が、この家族は、自給自足。

防空壕がないだけで、
戦時中の疎開先の風景を見るようだった。

畑をフル回転させ、足りない物があると、
辺りがすっかり暗くなって人の動く気配が見えなくなったのを見届けると
母親の、「取ってらっしゃい!」の一言で、
ゴソゴソと人の畑の中にもぐり込み、
手さぐりでジャガイモを掘りおこし、
胸いっぱいに抱きかかえ、「ハイ、お母さん。」と差し出す。

この仕事は男の子の仕事、

まさに、畑に出没する鼻グロイタチそのものだった。

自然がありながら、自然を活用しきれず、
地元民は、車でスーパーに野菜を買い出しに行くという。

植えるには植えるが、くされ放題、
野菜が野菜の肥料になって終わった。

それだけに、とがめる人はだれもなく、むしろ「助かる」だった。

焚火を囲んで、家族団らんの一時、
食後、母親は一つのジャガイモをめぐって、道徳教育。

まずは、
1 いかに私達が良いことをしたのか、に
はじまって、
2 物を大切にすることとは?
3 命の大切さを母子で学ぶ学習の場。

教科書は、一つのジャガイモだった。

挙句はナゾナゾ遊び。


「スーパーから、トマトをとることを
万引きというが、畑からとることを何という?」

子ども達「ドロボーだ!」


「そんな人聞きの悪いこと言うもんじゃありません。
それは、間引き、っていうの。」

その日のメニューはカレーだった。

川で魚がとれた日や、野草を摘んだ日は天プラに。

これは、豪華な食事だった。

都会から持参したのは、米、油、調味料、
カレー粉とインスタントラーメンと小麦粉くらいだった。

たまに買い出しに行く時は、
パンと、ドッグフードとキャットフード。

焚火を囲んで、犬もネコも、皆、並んで一緒に食べた。

犬、ネコのドッグフード、キャットフードの方が、
むしろ、よほどおいしそう、

くいしんぼうの男の子は、うらやましそうだった。

食事が終了すると後片づけ、
それがまた、楽しみな作業だった。

二人の子どもは、懐中電灯を手に、
バケツの中に食器を入れて、
川まで下りて、洗いに行く。

それが済むとバケツを持って、
川の水を汲みに行ったり来たり、
その水は、最後の火の後始末と、
明日の朝食の準備のための水だった。

隣家のボッチャマ君の目には、
チルドレン刑務所か、チビッコ消防隊の訓練風景のようなその光景は、
どう映って見えただろう?

目前には別荘、
中には水道もあれば、リビングもあり、キッチンもあり、
明るすぎるほどの明かりがある。

二人の子どもは、何一つとして疑問を持たない。

いったい何ゆえに!

そのことが、疑問だった。

夜になると、虫が入らないようにと、
窓という窓を閉め切って、
隣家のボッチャマ宅は、
冷たい光を放つシャンデリアの下で、家族の団らん。

閉め切ったアルミサッシの換気扇からは、
ケチャップとバターのにおい。

背景が違うだけで、
流れてくる空気は、都会のまんまだった。

さて、一日で一番楽しみな時間、
三角テントは、狭いながらも楽しい我が家。

フトンを敷きつめ、テントの入口を全解放。

テントの中央に吊るしたランプの明かりにひかれ、
飛び込んでくるいろんな虫を待ち受ける。

軽井沢も、夏休みも終わりに近づくと、
都会よりワンシーズン早く初秋。
テントの外では、虫の音も聞こえはじめ、
虫のオーケストラをバックに、
さあ、どんな虫が飛び込んでくるかな?

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バタバタ、大きな羽音、
「今晩は!」
20センチ近くの殿さまバッタは醍醐味があった。

遊びを発見すると、
二人で相談、即二人で行動、必ず実行した。

ある時、庭先に穴を掘りはじめ、
時折手を休めては、何やらヒソヒソささやいては、

手をたたいて笑っている。

「オヤ、何だろう、宅のボッチャンの落とし穴?」
隣家のボッチャマ君の母親はいぶかし気。

カーテン越しに行ったり来たり。
作業は、夕方近くまでかかって、
出来上がったのは、四角い大きな穴、
“プール”だった。

ビニールを敷きつめ、家から長いホースで水をひき、
泥水の混じったプールのできあがり。

丸裸になって、首までつかり、満足そうだった。

母親のさし入れたスイカとオニギリ、
労働した後の食事は、うまかった。

母の訓戒通り、
働かざるもの食うべからずだった。

この光景もまた、隣家のボッチャマ君の目には、
どう映って見えたのだろう?

この翌日、ボッチャマ君は、
浮き輪と水着を入れたカバンを持って、

母親の運転する白い車で得意気に、
軽井沢のホテルのプールへとシッポをふりふり。

-にもかかわらず夕暮れ近く、泣き泣き青白い顔をしてもどって来た。

自然が大好き!キャンプが大好き!家族、
-と、ここまでは良かった-が

今度は、母親の、それに輪をかけたとっぴな提案!
「フロ場をつくろう。」と。

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レンガを組んで、その上にドラム缶をのせ、
水を張って、下からマキをくべて、火を焚いた。

頭上は満天の星空、
自家製露天風呂だった。
この光景は、ボッチャマ君の目には、どのように?

暗闇で赤くメラメラと燃える炎、
炎に赤く照らし出された母親の顔は、
次々にマキをくべる、地獄の門番。

出たり入ったり、はしゃぎ廻り、
キャーキャーとひびき渡る奇声は、
キーキーと泣き騒ぐ悲鳴、
ここでボッチャマ君の目は釘づけとなった。

『釜ゆでの刑』

こんな恐ろしい光景見たことない!!だった。

フロ上がりの後の楽しみは、
一夏いっぱい続く、軽井沢の一大イベント、

あちらこちらの別荘で、競い合うようにあげる、
打ちあげ花火。

家族そろって、タダ見の見物。
その日の、子ども達への母の訓戒は、
オサツに火をつけて燃やすのと同じことだと。

母親が、この生活を持続することが出来たのには、
一つのヒミツがあった。

一度寝た子は、二度と起きなかった。
二人の子どもが寝静まったのを見届けると、
テントからこっそりと抜け出し、
別荘の中へと入って、
音楽を聴きながら、
冷蔵庫の中のウニやイクラ、お刺身を解凍、

冷蔵庫の中のビールやワインを取り出し、
犬とネコを相手に晩酌。

一日の内ではじめて、ゆったりとした私の時間だった。

いつ気づくかな?と思いながら・・・
ある年の夏、男の子が、
畑のゴミの中に、
エビやカニのカラがあることを不審に思いはじめ、
妹に耳うちした、

「もしかして、俺等が寝てから食っている。」
気づきはじめた頃、軽井沢を卒業。
本物のキャンプに行きだした。

夏休みいっぱいこの家族は、
働かざるもの食うべからずをモットーに

食べる、寝る、遊ぶ。

二人の子どもは、
良く働き、良く食べ、良く寝た。

母親は、
待つ、見守る、邪魔をしない。

どこまでも互いの三つのリズムを守り通し、
一夏、静かな別荘地帯をかき回し、
夏休みも終わる頃、父親が車でお出迎え。

「皆、ボクをじろじろ見るけど、どうしてだろう?」
これがホントの『父親の顔が見てみたい!』だった。

HINTS!
夏休みの宿題は遊ぶこと!

おしゃぶりをくわえた赤ちゃん
-和歌2歳のころ-


オッパイみたいで安心できるからよ・・・

おしゃぶりをくわえた赤ちゃんを発見
手を振りほどいてすっ飛んで行く
赤ちゃんの口から、おしゃぶりを素早く抜きとる
と、また素早くはめ込む
この繰り返し・・・

赤ちゃんはビックリ
まん丸い目はパチクリ
おしゃぶりを探して、金魚みたいにお口はパクパク

それが面白いったらない
どうにも止まらない

おしゃぶりをくわえた赤ちゃんのそばに駆け寄る和歌
私はやっとの思いで追いついて
抜きとろうとするその寸前
「イケマセン」と手をピシャン
赤ちゃんは驚いて、ウェンウェンと泣き出した

母親の冷たい視線
私はただただ謝るばかり
そんな私を知ってか知らぬか
逆なでするかのように
怒りに震える母親の廻りを
腰に手を当てがい
チンチンゴーゴー、チンチンゴーゴーと
目まぐるしく
ぐるぐると走り廻った

『はじめてのお風呂屋さん』
ママとはじめて お風呂屋さん


おどろくかな?
喜ぶかな?

大人も子供も裸になると
湯気の中へと消えてゆく

クモリガラスの湯気の向こうに何がある?
浴場をのぞき込んでみたけど
霧がかって何にも見えない

ちょっと、とまどったものの、
衣服を脱ぎ捨て浴場へと一目散

鏡に映る、裸の行列
押せば水
押せばお湯
ひねればシャワー
ボコボコ泡を吹くプール

どれから先に遊ぼうか
湯舟に入ると
さっそく クルクル 立ち泳ぎ
和歌ちゃんラッコは
「このプール、アッタカーイ」だった

パパとはじめて お風呂屋さん

「そうか、和歌はそんなに喜んだか」
「よし、今度はパパと行こう!」
はじめて見る男風呂、
辺りをジロジロと見渡し
一点を凝視
何を言い出すかと
パパは、ハラハラ ドキドキ
それもそのはず、
和歌とママは女同士だった。

その上、
パパはホロ酔い加減。
足元を見ては、
ここぞとばかり
遊びだし

そのあげく
辺り一面ひびき渡る
カン高い声

「ねえパパ、あのお花のもようのスタンプきれい!」
-でギクッ!

「パパ、どうして洗っても落ちないの?」
-でガクッ。

それははじめて見るボタンの入れ墨

あまりの邪気のなさに、
遠い日の夕ヤケ小ヤケが重なったのだろうか。
おじさんは目を細め、
「嬢ちゃん、
さいなら、良い子でねぇ-
もう帰ろう…帰ろう…」と

頭をなでなで去ってゆく
その後ろ姿は、
湯舟のように 深く温かい情が、
湯舟から、あふれ流れ出る湯のように
風呂場いっぱい隅から隅まで、
情が伝わってくるようだった。

が、パパは、温まるどころか洗うのも止めにして、
早々にひきあげ、
「もう、和歌とは二度とイカナイ!」だった。

HINTS!

人に可愛がられる子を育てよう
可愛いから、可愛がる
可愛がるから、可愛くなる

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