<思春期・反抗期>

<思春期・反抗期>
バレンタイン・チョコ

誰にあげようかな?
どの子にしようかな?
2/14 心ウキウキ バレンタインデー

バレンタインチョコ
もらって嬉しいのは
もらった子のお母さん

和歌はチョコレートを2つ買って
1つはその場で開けて食べ
もう1つはそっと我が家のポストに!

「ホレ! これ見てごらん」と兄、軍太
「アラ! 良かったわね」と
私にこっそりウインク

本当にあげたい子には
絶対あげない――だった

5/5 子供の日は
家の仕事を何でもやらせた
子供の日は、大人の日だった

母の日、学校帰りに
野原の花を摘んで
ハイ! お母さん
カーネーションなんか
欲しくもないし、嬉しくもなかった

性教育 小学校5・6年生

小学校高学年
フキノトウがふくらむ頃
男の子も、女の子も
各々に場所は異なるが
ふくらみを見せはじめ
保健体育の時間は
性教育がスタート

氾濫する性情報
頭でっかち
心と体のアンバランス

お月様はドーシテ丸いの?
お月様はドーシテ黄色いの?
突然 ドーシテ セックスしちゃいけないの?

HINTS!

金八先生ならきっと
スマン、ワカラン、教えてネ!君たち

思春期 小学校5・6年生

この頃何かが変なんだ
やることなすこと変なんだ
和歌 一体全体ドーシタノ?

我が家はワクワク動物ランド
犬が2匹、猫が10匹
とても優れた動物である夫を先頭に
それに続くは長男・軍太
計12匹

そこに不思議な生物がもう1匹登場
計13匹
人と動物の中間体
人でもなければ動物でもない
その生物は思春期の和歌だった

2匹の犬と10匹の猫は
ニャン 友 ワンダフル
和歌の恋の練習相手

ボーイッシュな和歌
犬を相手に
服従する練習
来い! 伏せ! 待て!
犬に教わることは多かった

大型犬相手に
見つめ合う練習
大きな図体に
落ち窪んだ小さな目

「ねぇ 私を見つめて」
感極まった大型犬
突然のしかかり 押し倒し
ぺロリと顔をなめチュッ!

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猫を相手に
共感、可愛くなる練習
「ねぇ 和歌!」に
「まぁ~ にゃ~にぃ~」

一日が動物に始まって動物で終わる
各々が、てんでバラバラ
とにかく騒々しい

そんな雑然とした部屋の片隅に
わずかばかりのきれいな場所を見つけ
不思議な植物が1本咲いていた
それが和歌

探ろうとすれば
脇を通りかかっただけで
パタリとフタを閉じる
食虫植物でもある

いったん閉じたフタは
気が向くまでは閉じきったまま
1日口を開かないこともザラ
口を開けば
「おこづかい下さい!」だった

学校から戻れば個室にたてこもり
個室は避難所、秘密基地

家族が寝静まった頃
リビングに現れ
テーブルの上をガサゴソと
真夜中の生態はヤドカリ

触れないでくれ
1人にしてくれ
でも1人は寂しい
聞こえてくる思春期のつぶやき
殻の中に閉じこもり 引きこもり

HINTS!

そんな時
ママは心のドアを全開放
「さあ、出てらっしゃい、いいものが
あるわよ!」

狭い三畳間はゴミだらけ
泥沼に生息するビーバー
歌手になる日を、将来のスターを
夢見るバク
ボーっと1人で考えごと

HINTS!

時間の無駄使いは
一服の精神安定剤

長電話、メール、お金の無駄使い
人は死ぬのになぜ勉強を?
悩みは尽きない

個室はカウンセリングルーム
一台の電話が何よりのカウンセラー

HINTS!

電話代の無駄使い
責める前に冷蔵庫でも開けてみよう
案外、無駄使いはどっちかな?

ダイエット、ダイエット
肥るも痩せるもさじ加減
自由自在のゴム風船

鏡の前に立つこと日に数十回
その度に「鏡よ鏡よ鏡さん
世界中で一番美しい人は誰?
それは江崎の和歌さんです!」と
お経のように唱えること日に数十回

ヘルスメーターに乗ること日に数十回
ヘルスメーターは消耗品
片足を乗せれば
まあ大変と風呂場へ

風呂場は個室
貸し切りサウナ
家族が風呂に入れない

そっとのぞけば
春の生ぬるい田んぼに
目と鼻だけ出して
カエルのように浮かんでる

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しんなりするほど写真に見入り
しっとりとした吐息が
湯気の中に立ちこめる

どうやら好きな子がいるらしい

好きな子1人いれば
ルンルン気分で登校
彼の胸めざし
ふくらむ思いの気球船
あいにく欠席
教室の前でしぼんじゃった

出しっぱなしのラブレターは
もらって驚くラブレター
誤字、脱字、金クギ流
これではまるで果たし状

気分の移り変わりは
朝と晩では大違い
グルグル廻るメリーゴーランド
浮き沈みはジェットコースター

HINTS!

巻き込まれず、さりげなく放っておく

ご機嫌よければクッキー作り
花形、星型、動物型

「失敗品は食べてよし」
ダイエット、作って眺めるだけのクッキーを
成功品まで次々に食べるのは兄・軍太

さあ、好きなだけお食べ
そしてどんどん豚におなり

「ねぇちょっとどいて
そこの豚
あんたがいると通れない 」

豚は到って
気立て良く
飼い慣らされた豚だった

毒づく時はドクダミかセンブリの花
静かで辛らつで激しい

それだけにダイナミックな自立を
予期してはいたものの…

反抗期 小学校5・6年生

親から離れ
自立しようとする和歌と
どう向き合おうか?

嵐の真っただ中
荒れ狂う高波に
のまれそうになりながら
一艘の舟に
母・子向かい合わせ

どうせ揺れ動くなら
デッカク揺れ動け!

嵐の後の静けさ
静かな凪の訪れ
過ぎてみれば
淋しすぎるほど

HINTS!

この先が親の自立です
イヤッ!というほど
子供の存在感を味わおう!

自立のための儀式
さあ! 反抗期の幕開けだ!

不思議な愛すべき生き物
人と動物の中間体
男の子と女の子の中間体
ムカツイテ、イカツイテ
やっぱり私は男の子でいたかった

ある日突然ふってわいた罵声
「うるせぇ、テメェー、クソ! 豚! 死んじまえ!」

目を閉じれば
あの可愛い日々が
走馬灯のようによみがえる

お花畑でかくれんぼ
お母さーん、どーこ?
突然泣き出し
あわてて草陰から飛び出し
抱きしめた――あの日のことを

ボーイッシュを卒業
マシュマロのようにふくらみ
主人も可愛くなったと
言いはじめた矢先
なんとひどいことを…

それから数日間
お母さん、あれやって、これやって
ねえったら、ねぇ

何を話しかけられても知らんぷり
豚はもう、死んでしまいました
何1つとして応じなかった

私は寝ころんで死んだふり
ねえったら、ねぇ、ごめんなさい
もう言わない――と
強引に体をぶつけ甘えてきた
まだまだ甘えたい和歌だった

勝手に部屋に入れば
デテイケ! にはじまって
弾丸、雨アラレの銃撃戦
ムカツイテ、イカツイテ
マジで切れて
クソババーで締める

日記の1ページ目は
へのへのもへじに赤い舌
人の物、見るヤツはバカ
アッカンベーだった

見るも探るも知られるのもイヤ!
「今日は何時に帰るの?」と尋ねれば
「じゃあ今日は帰らない」と家出の練習

親を責めたて批判する
あげくは比較
「あそこのお母さん美人ねえ」に
「だからあの子も可愛いのねえ」と

小言を言えば
「また言ってらぁー、テープレコーダー」
これをヒントに
小言をテープに吹き込んで
枕元でスイッチオン
これがほんとのテープレコーダーだった

口答えは矢のごとし
手出ししようなら針千本
怒ればちょうちんフグ

さあ怒れ怒れ
怒って怒ってふくらんで
破裂すれば自分が困るだけ

HINTS!
脇から眺めてみれば
なんともおもしろく退屈しない
愛くるしい生物
距離を置いて楽しもう

子供にとって
生きとし生けるものすべての
関わりあい、ふれあいを大切に
生活の中で
喜怒哀楽を思う存分
分かち合うことが
親から子への遺言である

HINTS!
反抗期の効用
逆手逆手と裏をかく

体を壊すから、そんなに勉強するんじゃない!
塾代がもったいないから、行くんじゃない!
遅刻してもいいから朝食はゆっくりととるのよ!

手術

好きな子1人いれば
休まないで学校へ
そんなことでもなければ
勉強なんてつまんない

一度でいい
好きな子に微笑みかけ
目と目で挨拶してみたい

が、あいにく
軽い斜視だった

なんともなまめかしい
小さなマリリンモンロー
どこを見てるかわからない

番茶も出花、お年頃
このままいけば
居並ぶ王子のハートを
いっせいにとまどわせ

私が本当に好きな王子は
誰でしょう?ウフフフフ…

人目が気になりだす思春期
自分が人にどう見えるか?
人が自分をどう見るか?

気になりだしたら
手術するしかない
手術も入院も初めて
不安どころか楽しみだった

お花を持ってお見舞いに
小児病棟から聞こえてくる
和歌の歌

病室をのぞけば
和歌を囲んで
コーラスの輪が
小さなナース
小さな天使
今、私にできることは
病んでいる子供たちに
歌を歌ってなぐさめること

――― 私たちは、この世で
大きいことはできません
「小さなことを、大きな愛でするだけです」―――
マザーテレサ

医師も看護婦さんも
小さなマザーテレサ・和歌ちゃんに
ありがとうだった

脊椎分離

キャンプで穴に落ちた
念のためレントゲンを
私は驚いた
医師はもっと驚いた

脊椎の一部が分離している
先天的なものか、後天的なものか
わからない、と
医師は私にだけそっと伝えた

「え! 徒歩キャンプ?
歩けることが奇跡に近い、不思議です」と医師
「手術をするか、スポーツで鍛えるか
手段は2つしかありません」と

この言葉に
落胆するどころか
思わずニッコリ

なにせ、夏は海や川で泳ぎまくり
イルカか魚同然

冬はマイナス25度の雪の上
テントを張って
スキー、スケートと
すべりまくったホッキョクグマ

年間スポーツの連続
原野の野生動物さながら
四季折々、遊びまくった

全身筋肉
筋肉の束は
分離した脊椎を
カッチリと固めコルセット

これまで通り
四季折々
遊んでいればそれで良い
持続と継続は
力なりだった

人生、何が良くて
何が悪いかわからない

太い声
スポーツで鍛え上げた
体は楽器

将来のスター
歌手になる日を
夢見るバクにとって

HINTS!

つまずきは心と体の栄養

スタンバイ!
斜視も脊椎分離も
ハンディは不可欠だった

ピアノ発表会
学芸発表会
キャンプ
斜視の回復――と

1つ1つが自信となって
中学校の校門
めざしてまっしぐら

思春期和歌は
サナギから見事なアゲハに
――でも、ちょっとまだら…

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