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エッセイ

日帰り旅行

『和歌のひとり言』
日帰り旅行 -山-


ママは赤ちゃんだからとか、まだ小さいからとか、
そんなことは全然関係なく、山でも川でも海へでも、
どこにでも連れてってくれた。

私はまだ自分で歩くこともできないし、
同じ場所にいることしかできない。
でも、なんでも大人と一緒に楽しむことができた。

私をバギーに乗せると、朝一番の電車の切符を買って、
できるだけ遠くへ連れてってくれた。

電車の窓から見える景色を見ているだけで退屈しなかった。
はじめ、ビルや町がすごいスピードで流れていく。

そのうちに、だんだん緑が多くなり、
目の前の景色が広がっていき、
ゆっくりと田んぼや川が見えてくる。一時間もすると、もう山につく。

山につくと、すぐ木の枝と枝の間に、
ベビージャンパーを吊るしてくれ、
そのヒモに私の身体を結びつけてくれた。

東京とあたりの景色が違うだけで、
ゆらゆらゆれる公園のブランコと同じだった。

手には、固めのおやつを持たせてくれ、
それをなめたり、食べたりしながら、
私は私で、あたりの景色を見たりしながら遊んでいた。

風に運ばれながら、どんどんいろんな形に変わっっていく雲、
青い空は、青い海。

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母鯨の腹の下を、たのしげにたわるれながら、
青海原をゆったりと泳いでいく子鯨雲は、まるでママと私みたい。

風に吹かれ、シャボン玉のように飛ぶタンポポの綿毛。

いろんな色のとてもきれいな鳥が、
すき通ったきれいな声を出しながら、
木の枝から枝へ音楽が流れているみたいに飛んでいく。

ブランコから下りて、さわったり、つかまえたりしたくなる。
早く、大きくなりたいなあ~。

なんて思っていたら、ちょうどママが戻ってきた。

ママはオヤツがなくなりかける頃、戻って来ては、
ママ 「ホラ、今度はこれ食べてごらん。」
と、また別のオヤツを手に持たせてくれると、
私を地面に下ろして、オムツを替えると、
すぐまたいなくなる。

私  「ママ、もう少し、ここにいて!」
と言いたいんだけど、

ママ 「もう少し待っててネ!いい子ネ。」
というと、大きなビニール袋を持って、サッといなくなってしまう。

ブランコの下を見たこともない長い長いものが
スーッと静かに通りすぎていく。
私が後ろ向きに振り返ると、

なんだか見かけたことがない子だな、と向こうも振り返る。
頭の先が丸くとんがって、そこから先は長い長いシッポ。

どこからどこまでがシッポなのだろうか。
考えているだけでヘビさんのように時間がスーッと過ぎてゆく。

どうやら青大将というものらしい。

waka59.gif

何となく、薄気味が悪く、恐くなって、
「ママはどこかな?」探してみたりした。

遠くの木陰から木陰へ、動く人影、
ママはママで、セリ摘みをしたり、ワラビやウド、ゼンマイ、
山菜を摘んだりして遊んでいた。

袋がいっぱいになると、時々もどって来ては、
めずらしものを見せてくれた。

「和歌ちゃん、ホラ、見てごらん。」
と、握っていた手のヒラをパッと広げると、

青い小さな生き物が、ママの手のヒラから田んぼに、
「ピョン!」

どうやらこれが、青ガエルというものらしい。

HINTS!

あなたはあなた、私は私で、
赤ちゃんのうちから工夫次第で
大人も赤ちゃんも一緒に楽しむことが
できるでしょう。


『和歌のひとり言』
日帰り旅行 -海-


海へ行く時は、朝早くか夕方涼しくなってから。
本物の花火を見たときは、暗闇でドカーン。

唯々恐いだけで泣いていた。

何もきれいだとは思わなかった。

波打ち際から、初めて見る海は感激した。

ザブーン、ドドーン、

よせては返す大波小波、音も形も、まるで白い花火のようだった。

ママは、波打ち際に深い穴を掘って、
天然のプールを作ってくれた。

公園のお砂と違って、なめるとザラザラとして、
しょっぱい砂と、しょっぱい水ははじめてだった。

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深い穴の中の砂を波がさらって、深くなったり、浅くなったり。
砂の穴から、カニが出たり入ったり。

小さな穴から小さなカニ、大きな穴から大きなカニ。

カニさんのパパとママ、
小さな赤ちゃんのカニさんは、まるで私みたい。

ママは、バケツの中にカニを次々につかまえては、ためていった。
それをプールの中に全部放すと、ハサミでコチョコチョ、
足の裏がくすぐったかった。

魚もつかまえてはプールに入れてくれた。
お腹がすくと、オニギリを食べたり、スイカを食べたり。
どんなにお行儀が悪くても、大丈夫だった。

よせては返す波が、サラサラと片づけてくれた。

お腹がいっぱいになって、
水平線のカモメもブイに止まって、休む頃、
ママは、水平線のずっと向こう、
真っ赤な夕日が、海の底に沈んでいくのをいつまでも見つめていた。

ずっと海の底深く沈んで、海の底が赤くなりはじめた頃、

ママは、
「和歌ちゃん、きれいだったでしょう。もう帰ろう。」
-と。

HINTS!

夏の日ざしは、赤ちゃんの肌には強すぎる。
早朝か夕方がよい。
飲むための真水と、洗うための真水と、
日影を用意すれば、
あとは何をしても大丈夫。

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