<反抗期の対応法>
- 2017.02.18
- 思春期・反抗期
●反抗期なんて怖くない
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「さあ?どうでしょう?
順調に反抗していますか?
反抗期は、親と子の別れ、
自立のための儀式。
『さあ、どっからでもかかってこい!』
喜怒哀楽を思う存分
分かち合いましょう! 」
これは、私が反抗期の子供を抱えて相談に来られるお母さんに
お伝えするメッセージです。
子供が反抗期になりますと、
非行に走りはしないか、 暴力をふるわれたりはしないかと
びくびくしたり、怖がったりするお母さんがおられますが、
自分の産んだ子を怖がっていたのではどうしようもありません。
ですから、反抗期に大切なことは、子供に負けないということ。
そして、どれだけぶつかり合うかということです。
私は、反抗期というのは嵐の晩、一艘の船に親子に迎えあわせに
乗っているようなものだと思うのです。
どうせ揺れるのなら大きく揺れ動けばいいのです。
イヤッというほど葛藤が多ければ多いほど、
子供はスッと自立するものです。
反抗期は親子の存在をこれでもかこれでもかと
確かめ合う時期ではないでしょうか。
過ぎてしまえば寂しすぎるほどで、家族にとっては、
一番にぎやかな時期といえるでしょう。
ところが今のお母さんは、子供と真正面から向き合っていないケースが
多いのではないでしょうか。
それは本をただせば子育てに自信がないからだと思います。
その原因はいろいろあるでしょうけれど、
一つにはいじめや自殺、ひきこもりといったマスコミから流される情報に振り回されて、
親が不安をかき立てられて、
それが自信のなさにつながっているように思います。
何から手を付けていいのかわからず心配性になっているのでしょう。
案外、仕事が忙しいからと逃げているケースも多く見受けられます。
つまり、子供の心が見えないのではなくて、
見える位置に立とうとしていないということです。
親が子育ての上でできることは何かといえば、
「待つ」「見守る」「じゃまをしない」ということです。
そして、子供が育つ上で大切なことは、
「食べる」「寝る」「遊ぶ」の三つです。
このそれぞれの三つのリズムを周りに振り回されることなく
親と子できっちりと守ることができれば、子供は健やかに育ってくれます。
これは動物の子育てに学ぶところが多いのですが、
当たり前のリズムを守ることが子育ての基本で、
人間の場合には、これに学びが入るわけです。
ところがこの学びが問題で、今のお母さんは学力ばかりに気を取られて、
リズムを崩してしまうことが多いように思います。
成績が良いからといって心に問題がないとは限りません。
子供には子供らしい環境、時間を整えてあげることが大切ではないでしょうか。
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ところで、反抗期は思春期に限ったことではありません。
生まれてから、二、三歳の頃に第一反抗期が始まり、
その後も大なり小なり続くわけですが、
中でも「三つ子の魂百まで」
と言われるように、幼少期思春期を支える土台となります。
また、親が子どもに言った言葉や態度は、必ず反抗期に戻ってきます。
では、生まれてから思春期までの子どもにどのように接すればよいのでしょうか?
●0歳~3歳
おんぶ・抱っこ・一緒にねんねと、スキンシップの時期、
母と子の信頼関係は、ここからスタートする。
●3歳~6歳
自己主張が一番強い時期で親の世話をとても嫌います。
自己主張、自立の時期です。
何でも「自分で、自分で」となりますので、
この時期は子供がやりたいことを思いっきりやらせましょう。
少々のことは大目に見てあげればいいのですが、
よく子供と同じレベルのお母さんがおられますね。
「お母さん嫌い、自分でやる。ダメ、やる。」
「そんなこと言う子、お母さんも嫌い。」
「ダメ、イヤ」が同じレベルなのです。
これではいけません。
子供が「自分で」と言ったことには、
できる限り手を出さずに見守ってあげることが大切です。
そして「上手ね」と言って褒めてあげる。あるいは共感してあげればいいのです。
とにかくこの幼児期のいろんな小さな体験の積み重ねがとても大切で、
それが生きる力のバネとなるのです。
●小学校低学年期
家庭中心の生活から学校中心の生活になります。
いわゆる「先生中心のメダカ社会」です。
しの中でも三、四年生は中間反抗期といって、
しきりに言い返す、口答えをする時期です。
そんなときは軽く受け流すくらいの余裕を持ちたいものです。
でも中には反抗の仕方を教えているようなお母さんもいますね。
「あらまあ、あなたって随分頭がよいのね」と感心すれば良いだけなのですが、
親が子供に言い返したり悪態をついたりして、
子供がグーの音も出なくなるほどやり込めてしまうのは考えものです。
それからこの時期に親がしてしまいがちなのが、
「○○すれば△△してあげる(買ってあげる)」という交換条件をつけてしまうことです。
これは交換条件を提示しないと何もしない子供になってしまいます。
それは親が子供に負けてしまった姿であり、
お母さんがいけないのです。
あとは「やれ」と命令されればイヤになりますから、
むしろお願いしてみることをお勧めします。
子供はたいていのことは聞いてくれますよ。
●小学校高学年期
ギャクングエイジといわれ、集団で遊ぶ時期です。
仲間とのつながりができ、グループで行動する時期です。
これができないと、むしろ思春期のステップを踏み外しやすいものです。
そしてこの頃には、学校で性教育が始まります。
また、心と身体がアンバランスな時期であり、
反抗もさらにダイナミックになって
「うるせー、てめー」と暴言を吐いたり、壊す、割る、殴るなど、
物に当たることも多くなります。
しかもこの時期は父親を意識して尊敬し始める反面、
お母さんをとにかく嫌うようになります。
そうなりますと母親の方も必死になってオロオロしだすケースがありますが、
まだまだかわいい時期です。
子供を恐れずしっかり向かい合いましょう。
要はお母さんがどれくらい子供のことがかわいくて、許容できるかということなのです。
そしてもし問題が起きた場合は、お母さんとの関わり合いが一番です。
ともかく子供を信頼して大きく受容する。
受け止めてあげて、
「あんたに任したよ」の一言で解決する場合も随分あります。
●中学生期
この時期は、成績・異性・将来の何かと気になる三つ
感情の起伏は激しくなり、幸福と絶望が交錯する時期です。
それだけに気分の浮き沈みが激しい不安定な時期ですので
特に男の子の場合は、
会話でしっかりと抱きしめ(「I love you」の声援をでっかく送りましょう!)
いわゆる二人称の関係が非常に大事で、
「お母さんはなんと言われてもいい。
あんたのためにどう思われてもいいんだよ。
だってうちの子だもん。私が産んだ大切な子なんだもん」
という言葉や態度が、子供の心の安定につながります。
他人にどう思われようが構わないという姿勢がとても大切です。
ところが、たいてい子供が非行に走り始めると、近所にどう思われるだろうか、
誰それの家にどう思われるかという、
親の見栄が子供をおかしな方に導いてしまうのです。
母親はやはり子供の心の居場所になれる、そういう親であること。
そして本当に必要なときに手を貸すことができる親であることが大事だと思います。
それから、反抗期になると、それまで子供のことにはあまり関わらなかった父親が、
突然、口を挟むことがありますが、これは場合によっては逆効果になることがあって、
わざわざ非行に走らせることになる、大きな要因となります。
つまり、これまで子育てをずっと母親任せにしていた父親が
突然出てくると反抗期の子供にすれば、
「何を今更、さんなこと言われる筋合いない。父親は何もお母さんの助けもしないで」
とかえって反発を招いてしまうのです。
だいたい父親の接し方は怒ったり、怒鳴ったりの一辺倒過ぎるのです。
それではなかなかうまくいきません。
反抗期の父親の関わり方、特に息子との関わり方はすごく大事です。
「おれは父親だ」と肩に力を入れ過ぎて、
やたらに権威を振るうこともないと思います。
「すまなかったなあ。今まではちょっと忙しいもんで構わなかったけれども。
できればお父さんも仲間に入れてくれる?」
と言えば、男同士でもきっと仲良くなれますよ。
いずれにしても、思春期は不機嫌で無愛想なものです。
そのことを良く理解した上で接してあげましょう。
●メッセージ
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子育てに行き詰まったら、とにかく外に出て行くことをお勧めします。
一日中家の中でずっと考えていても何も解決できません。
外に出て、同じ年ごろの同じ立場のお母さんたちと話を交わすだけでも
かなり違います。
また、草花や自然を眺めたり、動物を飼うのも良いでしょう。
お母さんのゆとり、安定感が子育てには何より大切です。
これは時間的なゆとりではなく、気持ちのゆとりです。
ゆとりはゆとりを生みます。
例えば、幼児期の場合であれば、子供と一緒の外に出て、
五分でもいいからちょっと手足を止めて、
道端に咲く一本の花や夕焼けを見て「きれいね」って語りかける。
このゆとりが、優しいゆとりのある子を育てるもとになるわけです。
反抗期においても同じ事でしょう。
私は良く「反抗期は大波小波のサーフィン」
とお話するのですが、親子で「さあ次はどんな波が来るかな」
とむしろ楽しみに待ち受ける。
行手社会のタタキ台、しっかりと受け止めさえすれば、
すべて肥やしになります。
それくらいの気持ちのゆとりを持ちたいですね。
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子供にとって反抗期は人生のプロセス、自立するためのステップです。
それまでは親を人生のモデルにしてきたわけですが、
反抗期になると、親を軽蔑したりして、
親を乗り越えよう乗り越えようとする時期です。
いずれ社会に立つ上でのタタキ台であり、
甘え・依存からの決別の時であり、なくてはならない時期なのです。
また、自分で自分をどうすればいいのか分からない、
ある意味つらい時期とも言えるでしょう。
ですから、親子で喜怒哀楽を思う存分分かち合い、
別れの瞬間を確かめ合えばいいと思います。
子供に残せるものは、大学教育でも何でもありません。
ともに交わす会話、言葉であり、
それらすべてが親から子へのメッセージであり、
親から子への遺言なのです。
怖がらずに、恐れずに、逃げずに、反抗したいだけ、
させるだけさせましょう。
スッ!と自立します。
過ぎてみれば寂しすぎるほど・・・。
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