白 昼 夢
- 2026.04.22
- エッセイ
東京には空がないといわれて久しい
都心の中央
高層ビルの谷間の空間に
空があった
手術後、身動きの取れないままに
上空をゆっくり流れていく雲に
自分の身を重ねる
ぼんやりと初夏の空を見る
天空に写し出された
青い大きなレントゲン写真
肋骨のように並んだ大小の白い雲
青空をゆるやかに流れていくのが透かして見える
大が率いる小の群れ
母鯨の腹の下を楽しげに戯れる子鯨の群
親子雲が西から東へと
青海原をゆったりと泳いで行く
次第に姿形を変えはじめ
ぐんぐんと先頭を行くのは子鯨の群れ
某大学病院上空で突然ゆるりと向きを変え
大きくゆっくり旋回をはじめた
教授が率いる医師の群
堂々と行進する子鯨の群
親鯨に見守られ
大小のビルを見下ろしながら
高層ビルの岩礁を避けながら
やがて白雲の波間へと消えていった
一番最後の小さな雲
若い白衣の後ろ姿が消え去ると
万感の思いがこみあげる
ベッドの上の固定観念
小さな自分が
レントゲンで透視された
自然の造形に
自分の思いを重ね
白昼夢をいっぱい楽しんだ
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